7.21.2014

第81回(開始時間にご注意下さい)


第81回叙述態研

日時:8月1日(金) 「15時」から場所:国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟504


【著者セッション】

石井弓『記憶としての日中戦争 インタビューによる他者理解の可能性』(研文出版、2013年)

書評者:岩川ありさ(東京大学大学院)

【企画主旨】
 叙述態研究会(きむすぽ)では、これまでも、戦争の記憶を伝達するということについて議論してまいりました。今回の著者セッションでは、石井弓さんの『記憶としての日中戦争
インタビューによる他者理解の可能性』(研文出版、2013)をとりあげます。

 石井さんは、本書の中で、「体験していない過去の戦争をあたかも体験したかのように語るということをどのように理解することができるか」という問いに答えようとします。日中戦争の記憶は、一方では、個別の記憶を抽象化した「戦争表象」として国民国家の中で共有されるのに対して、農村のような「顔の見える実体的なコミュニティ」においては、具体的な「語り」のかたちで人から人へと伝達されます。

 果たして、インタビュー調査を行う研究者は、「記憶する主体」と出会う中で、どのような位置からフィールドに参加し、「動的な戦争記憶」を記述することができるのか。今回の著者セッションでは、戦争を記憶化するメカニズムについて話しあうと同時に、他者の記憶を理解することの可能性と限界についても議論したいと思います。

【著者紹介】
石井弓:専門は、中国地域研究、オーラル・ヒストリー。2010年「記憶としての日中戦争」をテーマに博士号を取得。現在、東京大学総合文化研究科特任准教授。2009年には第6回太田勝洪記念中国学術研究賞受賞。中国山西省でのフィールド・ワークを中心にして、北京での調査も継続している。