6.05.2009

第43回


日時:6月5日(金)17:00〜
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター棟302
発表者:内田力
「網野善彦『無縁・公界・楽』における機能への注目」
コメンテーター:上村忠男

【発表要旨】
網野善彦は1953年夏に左翼政治運動から離脱したことを「戦後歴史学からおちこぼれた」と表現していた。実際、1953年以降の網野は同時代の歴史学がもつ暗黙の価値判断を共有しないで歴史研究をしようとしていた。本発表が示すのは、『無縁・公界・楽』(1978年出版)がその必要から歴史的事象の機能に注目して歴史叙述をおこなったということである。本書で網野は、事象それ自体よりも、事象がもつ「(世俗からの)縁切り」という機能に注目して叙述した。この方法により、たとえば「無縁」のように史料上は否定的文脈で現れる語を肯定的に評価してみせた。しかし、そのような叙述法が理解されなかったことで、議論のかみ合わない論争が歴史学界におきたのである。


5.01.2009

第42回


日時:5月1日(金)17:00〜
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター、センター棟514
発表者:村上克尚
「言葉を奪われた動物——大江健三郎「飼育」をめぐる江藤・三島の批評の問題点」

3.17.2009

第41回


ワークショップ「乳房はだれのものか」
木村朗子×田崎英明×生方智子
日程:2009年3月17日(火)17:00-19:00
場所:東京大学駒場キャンパス101号館2階研修室
共催:東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育センター」(The
University of Tokyo Center for
Philosophy, UTCP), 叙述態研究会
http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2009/03/utcp_17/

12.05.2008

第40回


日時:12月5日(金)17:00から
発表:友常勉「宣長とヴィーコ 〈権〉と〈衡平〉概念を中心に」
場所:立正大学大崎校舎(JR五反田駅あるいは大崎駅から徒歩12分)
1号館4階 第7会議室A (4階奥の部屋)

11.07.2008

第39回


UTCPワークショップ「生/性と権力の制度を読み解く」
日時:2008年11月7日(金) 16:30〜
会場:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1
(京王井の頭線「駒場東大前駅」下車徒歩3分)
備考:参加費無料 予約不要
主催:東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育センター」
(The University of Tokyo Center for Philosophy, UTCP)
パネリスト:
後藤絵美(日本学術振興会/UTCP)
「誰のためのヴェールか——現代エジプトにおける宗教言説の変容」
木村朗子(津田塾大学)
「文学というアポクリファ—日本中世宮廷社会の性の配置から」
萱野稔人(津田塾大学)
「生-権力と国民国家のあいだ——フーコーのレイシズム論——」
コメンテーター:市野川容孝(東京大学)
司会:内藤まりこ(東京大学大学院博士課程/UTCP)

http://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/events/2008/11/utcp_workshop_on_lifegender_an/

【ワークショップ趣旨文】
社会が再生産を基盤とするものであるかぎり、「生」は「性」の問題として、権力と不可分に結びついている。「生/性」が、人々を有能/無能者に振り分ける権力装置であるとして、ならば無能であることを根拠に、特定の帰属意識を共有しない共同体の可能性を模索することは可能だろうか。本ワークショップでは、こうした「生/性」と権力との関わりをめぐって、特定のアイデンティティを共有する国民によって成立する近代国家の問題を射程に置きつつ、それを異なる社会構造の枠組みから照射することを試みる。たとえば、近代以前の社会における性の配置や、現代社会の宗教(イスラーム教)と「生/性」との関わりを、その可能性を開くものとしてみてみたい。とくに、「生/性」と権力との関わりをめぐって、それまでとかくロマン化されて語られることの多かった前近代やイスラームといった対象を、それとは異なる語りによって現代的な課題と切り結ぶことができればと思う。
パネリストとして、暴力という視座から国家と権力との関わりを考察されてきた萱野稔人氏(津田塾大学)、文学テキストの分析を通して、日本中世における性の配置を権力の問題として論じられている木村朗子氏(津田塾大学)、エジプトにおけるヴェールの問題を研究されている後藤絵美氏(日本学術振興会/UTCP)にご発表いただく。

 

10.03.2008

第38回


日時:10月3日(金)17:00から
場所:代々木オリンピックセンター、センタ−棟303
著者セッション:上村忠男
書評担当:大橋完太郎
ジャンバッティスタ・ヴィーコ『新しい学』(上村忠男訳、法政大学出版会、2008年
6月)
上村忠男『バロック人ヴィーコ』(みすず書房,1998年)

さて、上村忠男さんをお招きして書評会を行う十月きむすぽにあたって、参考になる本をご紹介いたします。

『歴史を問う6 歴史の解体と再生』岩波書店 2003年
ここでは、歴史をめぐる五つの対談が収められていますが、編集委員として上村忠男さんがいずれの議論にも参加されていて、いずれも興味深い議論が展開されています。また、Ⅱの「フルコト・ミュートス・ヒストリアー「歴史の詩学」再考ー」は、上村さん、藤井先生、川田順造さんの鼎談となっており、必読です。

なお、『歴史を問う5 歴史が書きかえられる時』には上村さんの「歴史が書きかえられる時」が、『歴史を問う1 神話と歴史の間で』には藤井先生の「『うた』から見いだす神話の生成」が収められています。



7.11.2008

第37回


日時:7月11日(金)17:00から
場所:代々木オリンピックセンター、センター棟413号室
発表:小松原孝文
「保田與重郎と古典の美学——「日本の橋」を媒介として」
書評:大橋 完太郎X高木信
高木信『平家物語ー装置としての古典』春風社 2008年4月